7.不毛なサガ~思わず色んなことに対してツッこんでしまう関西人の血3
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「うっそぉー! 高校浪人?」デリカシーを一切持ち合わせないうらしまが嬉々としてアタシに迫る。「そっかそっか。高校、行きたいだろ。リカちゃん」
「そ、そりゃ、まぁ……」
「そうだよな。女子高生になりたいよな。僕だってなりたいよ。女子高生になってキャッキャしたいよ。友だちとキャッキャ。先輩とキャッキャ。後輩とキャッキャ。女教師とキャッ…キャキャァ! ハァハァ…部活とかやりたいよな。陸上部とかいいよな! ブルマ貸してくれ。ハァハァ」
アタシはうらしまの頭を叩いた。スパーンといい音した。
「貸してくれって、アンタがはくんか? そもそも今時の女子高生はブルマなんてはかんわ!」
「じゃ……じゃあ体育の時は何を?」
「ジャージや!」
「ジャージ……ッ!」
うらしまは夢破れた時の壮絶な顔をした。
※ ※ ※ ※ ※
それから数時間後のこと。
アタシたちは各自の部屋に戻って静かな眠りに落ちている。
ハァハァいう気持ち悪い息で目を覚ますと、枕元にアホの義兄が座っていた。
「うわ、うらしま! ビックリしたぁ! アンタ、何してんねん。勝手に人の部屋入って来んな!」
戸締りはした筈だから、お姉の持つ合鍵を使ったに違いない。
「何か夢見が悪い思ったら、アンタか。何しにきて……」
「しっ! 見てくれ」うらしまが小声で耳打ちした。部屋の隅で寝ている桃太郎を起こさないようにという気遣いだろう。「ホラ、僕、乳毛が生えてるんだ」
Tシャツをめくって、アタシに覗けと言う。何となく空気に呑まれて、アタシは奴の指差す所を見た。
「ハァ……」
窓から差し込む月光の下、確かに濃い毛が一本。ニョロリと生えている。乳毛ってやつやな。正直かなり気色悪い。
「な!」
「な、って言われても……」
「ナイショだよッ!」
「内緒って言われても……」
アタシは義理やけどアンタの妹やねん。恥ずかしい思いと情けない気持ちに、脳味噌は大混乱や。何ともいえない気持ち悪いモン見せられたっていうショックも、ちょっとはある。何せアタシは16歳の清い乙女や。
「ギャギャーッ!」
暫く考えてから、とりあえずアタシは叫んでおいた。お姉がやって来てうらしまの髪をつかんで引きずっていく後ろ姿を見送りながら、ようやく気付く。
「高校浪人の義妹を慰めようとしてくれたんかもしれんな、うらしまなりに…」
根っからのヘンタイやからああいう行動でしか気持ちを示せないけど、それなりに気にかけてくれてるんだ……と、アタシは前向きに考えることにしてみた。
「8.不毛な見栄~それが女心というやつなの?」につづく
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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※ ※ ※ ※ ※
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ハァハァいう気持ち悪い息で目を覚ますと、枕元にアホの義兄が座っていた。
「うわ、うらしま! ビックリしたぁ! アンタ、何してんねん。勝手に人の部屋入って来んな!」
戸締りはした筈だから、お姉の持つ合鍵を使ったに違いない。
「何か夢見が悪い思ったら、アンタか。何しにきて……」
「何か夢見が悪い思ったら、アンタか。何しにきて……」
「しっ! 見てくれ」うらしまが小声で耳打ちした。部屋の隅で寝ている桃太郎を起こさないようにという気遣いだろう。「ホラ、僕、乳毛が生えてるんだ」
Tシャツをめくって、アタシに覗けと言う。何となく空気に呑まれて、アタシは奴の指差す所を見た。
「ハァ……」
窓から差し込む月光の下、確かに濃い毛が一本。ニョロリと生えている。乳毛ってやつやな。正直かなり気色悪い。
「な!」
「な、って言われても……」
「ナイショだよッ!」
「内緒って言われても……」
「ナイショだよッ!」
「内緒って言われても……」
アタシは義理やけどアンタの妹やねん。恥ずかしい思いと情けない気持ちに、脳味噌は大混乱や。何ともいえない気持ち悪いモン見せられたっていうショックも、ちょっとはある。何せアタシは16歳の清い乙女や。
「ギャギャーッ!」
暫く考えてから、とりあえずアタシは叫んでおいた。お姉がやって来てうらしまの髪をつかんで引きずっていく後ろ姿を見送りながら、ようやく気付く。
「高校浪人の義妹を慰めようとしてくれたんかもしれんな、うらしまなりに…」
根っからのヘンタイやからああいう行動でしか気持ちを示せないけど、それなりに気にかけてくれてるんだ……と、アタシは前向きに考えることにしてみた。
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