29.ボクの××は聖水だよ~それは不毛な名言2
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「キェェーーーッ! エェェーッ!」壮絶な雄叫び。声が高いからこっちの耳にキンと響く。「ギェエエェッーーーッ! フゲーッ! ゲゲーッ!」
の、喉、裂けるで?アタシの注意なんて聞こえちゃいない。奴はホゲホゲ怒鳴りながら、手にしていたスマホを叩き割った。
「ホゲーッ! ゲーーーッ……ゲゲーッ…………」
……落ち着いたみたいだ。ようやくアタシに気付くと言い訳がましく喋りだした。
「あ、別に何てコトないんだよ? ただ、別れた女房が慰謝料よこせってうるさくて。もぅヤんなっちゃう。何とか払わなくてすむように工作してよ、リカちゃん」
別れた女房やて?
「イ、イヤや。アタシは何でも屋違(ちゃ)うし、特にそんな工作はしない。しかも、アンタの頼みやったら尚更や」
「ボク、婿養子だったんだ。小林って苗字だったんだよ。 ヤだな~。誰が小林少年だって?」
「はぁ?」
「小林少年……えっ、名探偵の助手の…えっ、今の子は知らないのか」
オキナは意味の分からない次元の話をしている。
「今の子とか言わんといて。慰謝料要求されるってことは、やっぱりアンタが悪いんやろ」
それにしても、別れた女房やて? コイツ、結婚してたんや。コイツでも結婚できたんや。
世の無常に打ちひしがれた感で、アタシは窓際の椅子に腰掛けた。外は竹やぶ。風に揺れてサラサラと音を立てている。
「アッ、今の話、かぐやちゃんにはナ・イ・ショね」奴は唇の前に人差し指を立ててウインクした。かなりムカツク仕草だ。「ボク、何も悪いことしてないよぉ。離婚しただけで男の方が慰謝料を支払うのが当然みたいなのオカシイよね~」
「よねって言われても……。その意見にはアタシは同意できんわ」
「興奮してスマホ壊れちゃうし。こっちの方が慰謝料欲しいくらいだよ」無残な姿のスマホを眺めて、オキナは変な声をあげた。「アッ! 今アクビしたら、喉の奥からすごい量のヨダレがピュッと飛び出てきちゃった」
「ヨダレ?」コイツも大概マイペースなやつだ。未練がましく液晶を拭いている。
「汚いナァ。乙女にそんな話せんといて」
「? 乙女って……」
ハッハッ……すごい低い声でゆっくり笑った。笑いながらも「ブヒ、ブヒーッ」と鼻をかむ。
「ボク、鼻炎がヒドくって~」
言いながら、鼻汁たっぷり含んだティッシュをキレイにたたんだ。
【つづく】
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