29.ボクの××は聖水だよ~それは不毛な名言3
「へぇ、大変やな。花粉症?」
「それもあるけど、アレルギー体質でハウスダストとかに弱いんだ。このアパート、埃っぽいし~? いっそ……ゴ、ゴメン」
話の途中でオキナはさっきたたんだティシュを手にした。おもむろに広げて「ブヒッ!」とかむ。そしてもう半分にたたんでテーブルに置いた。
「ちょっと、何してんの? 汚いなぁ。捨てぇな、ソレ」
「何で? ボクの鼻水はキレイだよ?」
「な、何を根拠に……!」久々にアタシは絶句した。「アカン! 虫わくで。捨て!」
むーし・むーしっ!
突然、背後からムカツクくらいのスローペースの拍手が。手拍子に合わせてムシムシ言っているのはお姉だった。いつのまにか玄関に立っている。
「虫なんか湧かせたら、出て行ってもらうわよ」
「ゴキブリ大量発生させた張本人は黙っててよ!」
オキナの痛い反撃に対してシラを切ってるつもりか、お姉はそっぽを向いた。変な音楽を口ずさんでいる。
「ダストダスト~♪ うちのアパートには~ハウスダストはいません~♪」
……そこは認めようや、お姉。
オキナは鼻をかんではティシュをたたみ、それを広げてはまた鼻をかんでいる。そういや中1の時の生物の先生も同じことして嫌われてたっけなぁ。
「何だよ、その目? ボクの鼻水はキレイだって言ってるじゃん」
「………………」
「ボクの鼻水は聖水だよ」またヘンなこと言い出した、コイツ。「ボクの鼻水が石油並みの貴重な液体だったら、ボク大金持ちだよ。一代で財を築けるよ。石油王ならぬ鼻水王……ボクの場合、優雅な雰囲気だから鼻水王子かな」
「はなみずおうじ?」
アカン。コイツも妄想スイッチONや。何が鼻水王子やねん。そんな人、誰がもてはやすか!
「そしたらボク、かぐやちゃん連れてこんなアパート出て行ってやるんだ。大きな豪邸に住まわせてあげるよ。ツライけど鼻炎薬も飲まずにがんばる! そして、かぐやちゃんにもっとちゃんとした服を買ってあげるよ」
ああ、コイツもさすがにあのKILLTシャツには疑問を抱いてたんやな。その点に関しては、ちょっとホッとした。
「服より先に靴買ったげて。あの人、いつもハダシやもん」
「そうだよね。オシャレな軍用ブーツ買ってあげるよ」
「あー、ハイハイ。それがええわ」
そこへお姉が割って入ってくる。
「ダメよ! かぐや様は置いていってもらうわ!」
こうして再び不毛すぎる争いが勃発した。
【つづく】
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