.超絶不毛美青年登場!~でも頭がすごく残念なかんじ2

【HJMG!不毛さん48】
16.超絶不毛美青年登場!~でも頭がすごく残念なかんじ2
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「うわ……」

 アタシは一歩、身を引く。
 顔が強張るのが自分でも分かった。
 その時、はっと気付く。
 この声──夜中になると聞こえてきた奇声や。
 この人の、この叫び声だったんや。

 ゴゴゴゴ……。
 地鳴りのような音も響く。

「な、何や何や」

 超攻撃型宇宙人の襲来か?

「アンタ、誰……いや、何なん?」

 日本語(というか人間の言語)が果たして通じるのか疑問を抱きながら、声をかけてみる。
 男は初めてアタシに気付いたかのようにギロリとこちらを睨んだ。

「ア、アタシは怪しい者違(ちゃ)う。多部リカっていって、ここのアパートの住人で……」

 声が上ずった。
 TシャツのKILLの文字が何とも恐ろしい。

「ワシは戦場のカリスマだ!」

 男は言い切った。

「うわぁ……」

 うわぁ、ソレって間違いなく「自称・戦場のカリスマ」やん。
 悲しい自称やわ。
 ここ、ただのボロアパートの庭やもん。
 戦場違うもん。平和な日本やもん。
 それに、ワシって、ワシってアンタ……どう見ても20歳そこそこなのに、よりによってその一人称か。

「な、何してんの?」

「ゲリラ戦の訓練だ」
 想定していた答えが返ってきた。
「ここはスイスアーミーの武装村だ。そしてワシは戦場のカリスマだッ!」

「………………」

 混乱を来しかけた頭を、アタシは必死で整理する。
 この人、戦場のカリスマって2回も自称したで。
 ゲリラ戦? スイスアーミー?

「アブナイッ!」

 KILLTシャツが眼前に迫り、アタシは竹やぶに突き飛ばされた。
 尻餅ついた痛みを感じる余裕もなく、目の前の光景に視線が釘付け。

「好きにはさせん! 地球を好きにはさせんぞ!」

 視線の先にあるのは──月だ。
 この人、月に向かって叫んではる?

「目を覚ませ!」
 突然怒鳴られ、肩を揺さぶられた。
「あれは軍事衛星だ。月じゃない! 地球の様子をつぶさに偵察する軍事衛星なのだ!」

「あ、ハイ……」

 頷きながら、アタシは確信した。
 この人、ただの電波(デンパ)サン違(ちゃ)う。
 遂に出会ってしまった。コレこそが本物の宇宙人や。

「そ、その手足のアンクルは?」

 見るからに重そう。
 歩行困難な程の重量のそれを、宇宙人は軽く振って見せた。

「月から強烈な敵が、遂に波状攻撃を掛けてきた時に外すつもりだ」

 強烈な敵って?
 ソレってアンタの敵なん?
 それとも人類の敵なん?

「あと、お風呂に入る時だ!」

「?」

 ……意味分からへん、この人。

         【つづく

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