3.不毛闘争~桃太郎追い出し作戦・コレは戦争や!2
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「だからって、人の部屋に勝手に住み着いていいって話にはならへんで。早く出てって!」
桃太郎は黙っている。アタシはコイツのペースに巻き込まれるのだけは絶対に避けようと身構えた。でも……アカン。気になってしょうがない。
「……壮大な目的って、何?」
桃太郎、チラリとこちらを見る。目がトロンとして、まだ寝ぼけているのが分かった。
「余は桃太郎じゃ。余はな、桃太郎なのじゃ」
やけに自信たっぷりな様子で言う。2回言う。
「それは分かったって。いや、分からんけど……でも分かったって。だけど、普通の桃太郎ってもっと熱血漢なんちゃう? アンタの喋り方、どっちかって言うとアホな殿様やん」
「ふ、普通の桃太郎ってどんなのですかーーーッ!」
「ヒッ、す、すいません」
突然標準語でキレられ、アタシは怯えた。桃太郎は直ぐにアホ面に戻ってお菓子をボリボリ食べだす。
「モゴモゴ。ともかく、余は桃太郎なのじゃ。世は理不尽に溢れておる。モゴ。故に余は世直しの旅を行うことにした。悪を懲らしめる旅じゃ。退治じゃ、退治じゃ~」
一番の理不尽がアンタやねんけど──その台詞、すごく言いたかったけどアタシは飲み込んだ。言っても多分、空しいだけや。
「そ、そんなん言うなら警官とか弁護士とかになったらいいやん。学校の先生とか」
世直しの旅に出るよりずっと世の為、人の為になる筈や。
「余は桃から生まれたので戸籍がないのじゃ」
あぁ、そうきたかァ!
「第一、組織になど入ってしまっては民の暮らしに目が行き届かぬではないか」
「ってことはアンタ、無職か? 無職なんか! 働けや!」
「まぁまぁまぁ。気にするな」
いや、気になるわ!
桃太郎は欠伸をするとゴソゴソ立ち上がってアタシの押入れを開けた。我が物顔でアタシのフトンを出そうとしている。
「ちょっとソレ、アタシの……」
「まぁまぁまぁ。気にするな」
「いや、気になるって! どけ!」
フトンを押入れに戻そうとアタシは桃太郎に飛びかかった。奴の手から敷布団を奪い取った瞬間、アタシは見た。押入れの中に何かある。
引っ越してきたばかりであまり何もない押入れに、見慣れぬ長い棒と布が。
「これはアンタの……?」
腕を伸ばして棒をつかむ。
ノボリだ。昔話の桃太郎が背中に差してる『日本一』の旗。クルクル布を開いてみる。桃太郎自身の背丈程あるそれには筆書きで『勝訴』と大きく書かれていた。あと、小さく桃のマークが。
「桃太郎よ、アンタはどこに向かおうとしてんの……?」
振り向くと奴は板間に突っ伏して寝こけていた。
「春眠、暁を覚えずぅ」
ブツブツそんなことを言ってる。
「春眠って、もう5月や。連休もあけたわ!」
アタシ、どうしたらいいんやろ……急に不安が押し寄せてきた。
「トーキョーって、こんなに怖い街やってんな……」
「4.不毛なまでの怯え方~初めて会った義兄ヘンタイでした」につづく
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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突然標準語でキレられ、アタシは怯えた。桃太郎は直ぐにアホ面に戻ってお菓子をボリボリ食べだす。
「モゴモゴ。ともかく、余は桃太郎なのじゃ。世は理不尽に溢れておる。モゴ。故に余は世直しの旅を行うことにした。悪を懲らしめる旅じゃ。退治じゃ、退治じゃ~」
一番の理不尽がアンタやねんけど──その台詞、すごく言いたかったけどアタシは飲み込んだ。言っても多分、空しいだけや。
「そ、そんなん言うなら警官とか弁護士とかになったらいいやん。学校の先生とか」
世直しの旅に出るよりずっと世の為、人の為になる筈や。
「余は桃から生まれたので戸籍がないのじゃ」
あぁ、そうきたかァ!
「第一、組織になど入ってしまっては民の暮らしに目が行き届かぬではないか」
「ってことはアンタ、無職か? 無職なんか! 働けや!」
「まぁまぁまぁ。気にするな」
いや、気になるわ!
桃太郎は欠伸をするとゴソゴソ立ち上がってアタシの押入れを開けた。我が物顔でアタシのフトンを出そうとしている。
「ちょっとソレ、アタシの……」
「まぁまぁまぁ。気にするな」
「いや、気になるって! どけ!」
フトンを押入れに戻そうとアタシは桃太郎に飛びかかった。奴の手から敷布団を奪い取った瞬間、アタシは見た。押入れの中に何かある。
引っ越してきたばかりであまり何もない押入れに、見慣れぬ長い棒と布が。
引っ越してきたばかりであまり何もない押入れに、見慣れぬ長い棒と布が。
「これはアンタの……?」
腕を伸ばして棒をつかむ。
ノボリだ。昔話の桃太郎が背中に差してる『日本一』の旗。クルクル布を開いてみる。桃太郎自身の背丈程あるそれには筆書きで『勝訴』と大きく書かれていた。あと、小さく桃のマークが。
ノボリだ。昔話の桃太郎が背中に差してる『日本一』の旗。クルクル布を開いてみる。桃太郎自身の背丈程あるそれには筆書きで『勝訴』と大きく書かれていた。あと、小さく桃のマークが。
「桃太郎よ、アンタはどこに向かおうとしてんの……?」
振り向くと奴は板間に突っ伏して寝こけていた。
「春眠、暁を覚えずぅ」
ブツブツそんなことを言ってる。
「春眠って、もう5月や。連休もあけたわ!」
アタシ、どうしたらいいんやろ……急に不安が押し寄せてきた。
「トーキョーって、こんなに怖い街やってんな……」
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