「……和菓子と洋菓子、どちらが良いか聞かなければなりません……はっ、余は何を?」
ようやく桃太郎は目を覚ました。
「何ちゅう寝ぼけ方やねん! どういう状況やねん! 何で敬語やねん! いいから桃太郎、早く起きて!」
アタシはちょっと取り乱していた。階下のSM戦争を子守唄に眠りについて──朝起きたらこのザマだ。
「見て、コレ! ヒドイやん!」
気が付いたら、アタシの髪は耳の辺りでバッサリ切られていた。背中まであったから、20センチくらい持っていかれたことになる。
「寝てる間に女の髪切るなんて信じられへん! 最悪や、アンタ!」
「ま、待て。余は知らぬ」
桃太郎、ようやく寝ぼけ状態から覚醒したようだ。
「シラ切る気? アンタ以外に犯人はおらん! それともアタシが他に恨み買ってるって言うん?」
「し、しかし余は……」
アタシのあまりの剣幕に、桃太郎の顔は蒼白になっていた。
「アタシはなぁ、このまま警察駆け込んでも構わへんねん!」
叫んだ時だ。扉をドンドン叩く音が。
「リカ? うるさいわよ。黙りなさい!」
それは怒声だったが、アタシは姉の声を聞いて涙が零れるのを自覚した。ドアを開けて廊下へ転がり出る。
「お、お姉っ!」
「あら、随分サッパリ……」
アタシはお姉の胸にしがみ付いて泣きじゃくった。
「どうしたんだい、リカちゃん。ネズミが出たのかい?」
ボケたことを言いながら横から覗き込んでくるうらしまの顔面に、お姉の拳が打ち込まれる。
※ ※ ※ ※ ※
階下の姉の部屋に行ってゴミの中で髪を整えてもらい、ようやくアタシは落ち着きを取り戻した。別に長い髪に執着はないけど、さすがにショックで涙出た。何せ寝てる間に髪を切られたわけだから、事態は深刻だ。
桃太郎は頑として違うと言い張る。嘘は付いてない様子に、アタシ達は戸惑った。
「まぁ、落ち着いて。甘いものでも食べて」
尻をボリボリ掻いた手でうらしまがお菓子を取ってくれる。
「あ、ありが……」
「あなたのその汚い手から食べ物は受け取りたくないわ」
代わりにお姉が言ってくれた。それにしても辛辣だ、この人。
うらしまはお姉にそう言われ、嬉しそうに「あふんっ」と叫んでる。とことんヘンタイや、この人。
「リカ、すぐに警察に行きましょう」
姉の提案に、しかしアタシは首を横に振った。昨日そこから帰ってきたばかりなのに、また舞い戻りたくない。
「感電少女、髪抜ける、とか言われたら嫌やもん」
「ブウッ!」慰めてくれたらいいのに、お姉はそこで笑いをかみ殺した。「そ、そうね。じゃあ、今日にでも住人にそれとなく聞いてみるわ。不審人物を見なかったかって」
不審人物なら多すぎや。アタシは桃太郎とうらしまを横目で睨んだ。
【つづく】
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※ ※ ※ ※ ※
階下の姉の部屋に行ってゴミの中で髪を整えてもらい、ようやくアタシは落ち着きを取り戻した。別に長い髪に執着はないけど、さすがにショックで涙出た。何せ寝てる間に髪を切られたわけだから、事態は深刻だ。
桃太郎は頑として違うと言い張る。嘘は付いてない様子に、アタシ達は戸惑った。
「まぁ、落ち着いて。甘いものでも食べて」
尻をボリボリ掻いた手でうらしまがお菓子を取ってくれる。
「あ、ありが……」
「あなたのその汚い手から食べ物は受け取りたくないわ」
代わりにお姉が言ってくれた。それにしても辛辣だ、この人。
うらしまはお姉にそう言われ、嬉しそうに「あふんっ」と叫んでる。とことんヘンタイや、この人。
うらしまはお姉にそう言われ、嬉しそうに「あふんっ」と叫んでる。とことんヘンタイや、この人。
「リカ、すぐに警察に行きましょう」
姉の提案に、しかしアタシは首を横に振った。昨日そこから帰ってきたばかりなのに、また舞い戻りたくない。
「感電少女、髪抜ける、とか言われたら嫌やもん」
「ブウッ!」慰めてくれたらいいのに、お姉はそこで笑いをかみ殺した。「そ、そうね。じゃあ、今日にでも住人にそれとなく聞いてみるわ。不審人物を見なかったかって」
不審人物なら多すぎや。アタシは桃太郎とうらしまを横目で睨んだ。
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