不毛な新キャラ登場~今度は小人だ!1

【HJMG!不毛さん12】
5.不毛な新キャラ登場~今度は小人だ!1
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「……和菓子と洋菓子、どちらが良いか聞かなければなりません……はっ、余は何を?」

 ようやく桃太郎は目を覚ました。

「何ちゅう寝ぼけ方やねん! どういう状況やねん! 何で敬語やねん! いいから桃太郎、早く起きて!」

 アタシはちょっと取り乱していた。階下のSM戦争を子守唄に眠りについて──朝起きたらこのザマだ。

「見て、コレ! ヒドイやん!」

 気が付いたら、アタシの髪は耳の辺りでバッサリ切られていた。背中まであったから、20センチくらい持っていかれたことになる。

「寝てる間に女の髪切るなんて信じられへん! 最悪や、アンタ!」

「ま、待て。余は知らぬ」

 桃太郎、ようやく寝ぼけ状態から覚醒したようだ。

「シラ切る気? アンタ以外に犯人はおらん! それともアタシが他に恨み買ってるって言うん?」

「し、しかし余は……」

 アタシのあまりの剣幕に、桃太郎の顔は蒼白になっていた。

「アタシはなぁ、このまま警察駆け込んでも構わへんねん!」

 叫んだ時だ。扉をドンドン叩く音が。

「リカ? うるさいわよ。黙りなさい!」

 それは怒声だったが、アタシは姉の声を聞いて涙が零れるのを自覚した。ドアを開けて廊下へ転がり出る。

「お、お姉っ!」

「あら、随分サッパリ……」

 アタシはお姉の胸にしがみ付いて泣きじゃくった。

「どうしたんだい、リカちゃん。ネズミが出たのかい?」

 ボケたことを言いながら横から覗き込んでくるうらしまの顔面に、お姉の拳が打ち込まれる。

   ※ ※ ※ ※ ※


 階下の姉の部屋に行ってゴミの中で髪を整えてもらい、ようやくアタシは落ち着きを取り戻した。別に長い髪に執着はないけど、さすがにショックで涙出た。何せ寝てる間に髪を切られたわけだから、事態は深刻だ。

 桃太郎は頑として違うと言い張る。嘘は付いてない様子に、アタシ達は戸惑った。

「まぁ、落ち着いて。甘いものでも食べて」

 尻をボリボリ掻いた手でうらしまがお菓子を取ってくれる。

「あ、ありが……」

「あなたのその汚い手から食べ物は受け取りたくないわ」

 代わりにお姉が言ってくれた。それにしても辛辣だ、この人。
 うらしまはお姉にそう言われ、嬉しそうに「あふんっ」と叫んでる。とことんヘンタイや、この人。

「リカ、すぐに警察に行きましょう」

 姉の提案に、しかしアタシは首を横に振った。昨日そこから帰ってきたばかりなのに、また舞い戻りたくない。

「感電少女、髪抜ける、とか言われたら嫌やもん」

「ブウッ!」慰めてくれたらいいのに、お姉はそこで笑いをかみ殺した。「そ、そうね。じゃあ、今日にでも住人にそれとなく聞いてみるわ。不審人物を見なかったかって」

 不審人物なら多すぎや。アタシは桃太郎とうらしまを横目で睨んだ。

            【つづく

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