不毛な新キャラ登場~今度は小人だ!2

【HJMG!不毛さん13】
5.不毛な新キャラ登場~今度は小人だ!2
      【はじめましての方はこちらへどうぞ】
      【前回のお話はコチラ


 それにしてもこのボロアパートに住む人ってどんな奴なのか、ちょっと興味を引かれる。せっかくなので姉に聞いてみた。

「ここは1階2階、各4部屋ずつ。合計8部屋あるわ。1ー1はわたしの部屋。1ー2は男性が住んでるけど、ほとんど出てこないわね。1ー3は空き家で、1ー4は気持ち悪い系の男。それから……」

 2ー1はアタシの部屋で、隣りの2ー2には専門学校に通う女の子が住んでいるらしい。

「あっ、その子見たわ。引っ越してきた日にチラッと。ああ、早く挨拶に行かんと」

 2ー3も空き家で、2ー4は引きこもりらしい。

 部屋番号が学校みたいで面白いけど、それにしてもこのアパート、引きこもり多いな!

 別に変な人はいないと言う(姉目線で、ってところがポイントやけど)。アタシもどうでも良くなってきた。何やらどっと疲れが……。

「アタシ、ちょっと休むわ。とにかく犯人見付かるまで、桃太郎は部屋に入れんからな!」

「そんな! では余はどこで寝ればいいのじゃ」

 桃太郎がお姉に泣きつく。

「そんな事言ったら可哀相でしょ、リカ」

「な、何の関係もないで。アタシとコイツの間には。アタシが面倒見る筋合いはないわ! お姉が世話したらいいやん!」

「お断わりよ。嫌に決まってるじゃない」

「あぐっ……!」

 桃太郎が呻く。

 すごい理不尽な思いをしながら、アタシは部屋に戻った。きちんと鍵をかけて、窓の戸締りも確認する。

「ああ疲れた、疲れた。ホンマにヒドイ目にあったわ」

 フトンに入ろうとした時だ──カリカリカリ。妙な音に気付いた。

「なに?」

 うらしまが言ったようにネズミが住んでるのかもしれない。何せ古い家だから。断続的に続くカリカリ音。押入れから聞こえてくる。

 そーっと押入れを開け、アタシはそこに信じられない物を見た!

 桃太郎の勝訴ノボリが広げられ、その上に黒い糸みたいなのが大量に敷き詰められている。アタシの髪だということはすぐに分かった。それを絨毯代わりに、そこに立つそれ。
 人間の手の平サイズの小さな人。血色の良い頬に糸のような細い目。じーっとアタシを見詰めている。

「こっ……!」

 小人やーッ! 小人に遭遇してしもたーッ!


 ちょっとドキドキしながらも、アタシはソイツに手をのばした。捕まえようとしたところでガブリと指を噛まれる。

「痛たたたッ! ゴメン。ゴメンって! 放して」

 すると小人はアタシの指から牙を抜いて、軽やかにと床に降り立つ。どうやらこちらの言うことは分かるらしい。

「ア、ア、アタシの髪切ったん、もしかしてアンタ……?」

 すると小人、クルリとこちらを向く。

「拙者、一寸法師でゴザル。そちら様は?」

 うわ、喋った! しかも声がえらくシブい。セッシャ? イッスンボウシ? ゴザル?

「──ちょっと待って。アタシの脳、許容範囲越えたわ」深呼吸してみる。スーハースーハー。よし、落ち着いた。「アタシは多部リカ。アンタは一体? その、一体……?」

 とても一寸法師には見えない(いや、一寸法師を見たことはないけど)。小人は童話の中の西洋人のパジャマのようなワンピースを着ていた。緑色のフワフワの生地で、胸元にはリボンが付いている。

「拙者は一寸法師。言わば福の神でゴザル。誰にも言ってはならぬ。リカ氏うじよ、そなただけの福の神でゴザル」

「アタシだけの福の神……?」

 頭がボーっとしてきた。こ、これは希少価値の座敷童みたいなものかもしれない。

「リカ殿っ、今悲鳴が聞こえたぞよ。無事であるか?」

 扉を叩く音。桃太郎だ。怪しまれたらアカン──とっさにアタシはそう思った。

「な、何でもない。帰って、桃太郎」

「リカ殿、余には帰る所はない。ここしかないのじゃ」

 絶対ドアは開けない。固く誓ってアタシ。再び押入れを覗き込む。

 アタシだけの福の神。アタシだけの福の小人……。
 それからアタシは自分で言うのも何だけど、ちょっとおかしな行動を取るようになってしまった。

 ~人類の2分の1は既に宇宙人だという強烈な確信」につづく



    このエントリーをはてなブックマークに追加 

  「HJMG!不毛さん」とは…こんなお話はコチラ

   HJMG!不毛さん サイトマップはコチラ


   HJMG!不毛さん第1話はコチラ 


良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
          ↓ ↓ ↓
【はじめましての方はこちらへどうぞ】