5.不毛な新キャラ登場~今度は小人だ!2
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それにしてもこのボロアパートに住む人ってどんな奴なのか、ちょっと興味を引かれる。せっかくなので姉に聞いてみた。
「ここは1階2階、各4部屋ずつ。合計8部屋あるわ。1ー1はわたしの部屋。1ー2は男性が住んでるけど、ほとんど出てこないわね。1ー3は空き家で、1ー4は気持ち悪い系の男。それから……」
2ー1はアタシの部屋で、隣りの2ー2には専門学校に通う女の子が住んでいるらしい。
「あっ、その子見たわ。引っ越してきた日にチラッと。ああ、早く挨拶に行かんと」
2ー3も空き家で、2ー4は引きこもりらしい。
部屋番号が学校みたいで面白いけど、それにしてもこのアパート、引きこもり多いな!
別に変な人はいないと言う(姉目線で、ってところがポイントやけど)。アタシもどうでも良くなってきた。何やらどっと疲れが……。
「アタシ、ちょっと休むわ。とにかく犯人見付かるまで、桃太郎は部屋に入れんからな!」
「そんな! では余はどこで寝ればいいのじゃ」
桃太郎がお姉に泣きつく。
「そんな事言ったら可哀相でしょ、リカ」
「な、何の関係もないで。アタシとコイツの間には。アタシが面倒見る筋合いはないわ! お姉が世話したらいいやん!」
「お断わりよ。嫌に決まってるじゃない」
「あぐっ……!」
桃太郎が呻く。
すごい理不尽な思いをしながら、アタシは部屋に戻った。きちんと鍵をかけて、窓の戸締りも確認する。
「ああ疲れた、疲れた。ホンマにヒドイ目にあったわ」
フトンに入ろうとした時だ──カリカリカリ。妙な音に気付いた。
「なに?」
うらしまが言ったようにネズミが住んでるのかもしれない。何せ古い家だから。断続的に続くカリカリ音。押入れから聞こえてくる。
そーっと押入れを開け、アタシはそこに信じられない物を見た!
桃太郎の勝訴ノボリが広げられ、その上に黒い糸みたいなのが大量に敷き詰められている。アタシの髪だということはすぐに分かった。それを絨毯代わりに、そこに立つそれ。
人間の手の平サイズの小さな人。血色の良い頬に糸のような細い目。じーっとアタシを見詰めている。
「こっ……!」
小人やーッ! 小人に遭遇してしもたーッ!
ちょっとドキドキしながらも、アタシはソイツに手をのばした。捕まえようとしたところでガブリと指を噛まれる。
「痛たたたッ! ゴメン。ゴメンって! 放して」
すると小人はアタシの指から牙を抜いて、軽やかにと床に降り立つ。どうやらこちらの言うことは分かるらしい。
「ア、ア、アタシの髪切ったん、もしかしてアンタ……?」
すると小人、クルリとこちらを向く。
「拙者、一寸法師でゴザル。そちら様は?」
うわ、喋った! しかも声がえらくシブい。セッシャ? イッスンボウシ? ゴザル?
「──ちょっと待って。アタシの脳、許容範囲越えたわ」深呼吸してみる。スーハースーハー。よし、落ち着いた。「アタシは多部リカ。アンタは一体? その、一体……?」
とても一寸法師には見えない(いや、一寸法師を見たことはないけど)。小人は童話の中の西洋人のパジャマのようなワンピースを着ていた。緑色のフワフワの生地で、胸元にはリボンが付いている。
「拙者は一寸法師。言わば福の神でゴザル。誰にも言ってはならぬ。リカ氏(うじ)よ、そなただけの福の神でゴザル」
「アタシだけの福の神……?」
頭がボーっとしてきた。こ、これは希少価値の座敷童みたいなものかもしれない。
「リカ殿っ、今悲鳴が聞こえたぞよ。無事であるか?」
扉を叩く音。桃太郎だ。怪しまれたらアカン──とっさにアタシはそう思った。
「な、何でもない。帰って、桃太郎」
「リカ殿、余には帰る所はない。ここしかないのじゃ」
絶対ドアは開けない。固く誓ってアタシ。再び押入れを覗き込む。
アタシだけの福の神。アタシだけの福の小人……。
それからアタシは自分で言うのも何だけど、ちょっとおかしな行動を取るようになってしまった。
~人類の2分の1は既に宇宙人だという強烈な確信」につづく
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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それにしてもこのボロアパートに住む人ってどんな奴なのか、ちょっと興味を引かれる。せっかくなので姉に聞いてみた。
「お断わりよ。嫌に決まってるじゃない」
「あぐっ……!」
桃太郎が呻く。
ちょっとドキドキしながらも、アタシはソイツに手をのばした。捕まえようとしたところでガブリと指を噛まれる。
「痛たたたッ! ゴメン。ゴメンって! 放して」
すると小人はアタシの指から牙を抜いて、軽やかにと床に降り立つ。どうやらこちらの言うことは分かるらしい。
「ア、ア、アタシの髪切ったん、もしかしてアンタ……?」
すると小人、クルリとこちらを向く。
「拙者、一寸法師でゴザル。そちら様は?」
うわ、喋った! しかも声がえらくシブい。セッシャ? イッスンボウシ? ゴザル?
「──ちょっと待って。アタシの脳、許容範囲越えたわ」深呼吸してみる。スーハースーハー。よし、落ち着いた。「アタシは多部リカ。アンタは一体? その、一体……?」
とても一寸法師には見えない(いや、一寸法師を見たことはないけど)。小人は童話の中の西洋人のパジャマのようなワンピースを着ていた。緑色のフワフワの生地で、胸元にはリボンが付いている。
「拙者は一寸法師。言わば福の神でゴザル。誰にも言ってはならぬ。リカ氏(うじ)よ、そなただけの福の神でゴザル」
「アタシだけの福の神……?」
頭がボーっとしてきた。こ、これは希少価値の座敷童みたいなものかもしれない。
「リカ殿っ、今悲鳴が聞こえたぞよ。無事であるか?」
扉を叩く音。桃太郎だ。怪しまれたらアカン──とっさにアタシはそう思った。
「な、何でもない。帰って、桃太郎」
「リカ殿、余には帰る所はない。ここしかないのじゃ」
絶対ドアは開けない。固く誓ってアタシ。再び押入れを覗き込む。
アタシだけの福の神。アタシだけの福の小人……。
それからアタシは自分で言うのも何だけど、ちょっとおかしな行動を取るようになってしまった。
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