不毛なまでに、乙女 ~8人殺ったマフィアはりりしくてピンクの割烹着3

【HJMG!不毛さん24
.不毛なまでに、乙女
 ~8人殺ったマフィアはりりしくてピンクの割烹着3
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「あの、お姉……?」

 しかし疑惑を正す間もない。
 玄関の扉がすごい勢いで開かれた。
 全身洗濯ばさみ男が飛び込んできたのだ。
 明かに不審者の乱入に、桃太郎が甲高い悲鳴をあげる。

 洗濯ばさみ男──うらしまの攻撃。

「アタック! アタック!」

 全身をグイグイとカメさんに押し付ける。
 おしおきを受けて汗だくになった身体で。

 アタシはその攻撃を、心の中で「ヌメヌメ・アタック」と名付けた。

 どうやらうらしまなりに自分の立場の危うさを自覚したらしい。

「掃除も洗濯も僕がやる! 乙姫サマの忠実な下僕は僕1人だ!」

 ……自分でソレ言っちゃおしまいやろ、義兄よ。

「乙姫サマ、騙されちゃいけません。コイツはすでに8人殺ってる顔だッ!」

 攻撃を受けても微動だにしないカメさん、辛そうに目を伏せた。

「ひ、人のこと、見かけで判断するな!」

 アタシが逆上してうらしまの尻を叩くと、奴は「あふん!」と一際エロい悲鳴を漏らす。

 そこへまだ1人厄介者──今度はワンちゃんが現れた。
(いや、悪いけど厄介者やで?)

「ととと薹トウが立った若執事のようですぅぅぅ!」

 挨拶も自己紹介も何もなく、いきなりそう言った。
 カメさんを凝視している。

 若執事って何や?
 薹が立ってるなら、別に普通の執事でいいやん……いや、だから執事って何やねん。
 何の妄想や。ワンちゃん、この子もよく分からん子やわ。

「な、何の用……?」

 アタシの問いにワンちゃん、ハッとしたように手にしていた袋を差し出した。

「もも桃さまに差し入れ。きききびだんご、作りすぎちゃったんで」

「ほぅ、かたじけない」

 桃太郎、受け取って1人でモグモグ食べだした。
 実はこれが初めてではない。
 ワンちゃんはこのところほぼ毎日、こうやって桃太郎にきびだんごを届けに来るのだ。

「何でワンちゃん、毎日きびだんごを作りすぎるくらい作ってんの? どういう食生活?」

 ワンちゃんはポッと頬を染めて俯いた。

「……恋か」

 ボソッと呟いたのはカメさんだ。
 アタシは悪いけど引いた。
 うわ、何やこの世界。居心地悪っ! ひどく甘酸っぱい!

             【つづく

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