【HJMG!不毛さん25】
9.不毛なまでに、乙女
~8人殺ったマフィアはりりしくてピンクの割烹着4
【はじめましての方はこちらへどうぞ】
【前回のお話はコチラ】
「リカさん、ちょっと聞きたいことが……」
9.不毛なまでに、乙女
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「リカさん、ちょっと聞きたいことが……」
突然カメさんに腕を引っ張られ、アタシたちは廊下に出た。
そのままひきずられるように階段を上って、アタシの部屋に直行する。
そのままひきずられるように階段を上って、アタシの部屋に直行する。
「いきなり何? 聞きたいことって何なん? カメさん」
アタシの部屋の玄関先でカメさん、立ち止まった。
これは明かに部屋に入れるよう要求しているな。
……仕方ない。
ドアを開けるなりアタシは言い訳を始めた。
これは明かに部屋に入れるよう要求しているな。
……仕方ない。
ドアを開けるなりアタシは言い訳を始めた。
「スイマセン。アタシも部屋グチャグチャです。着替えとか食器とかあまり片付きません。片付け方がよく分からないんです。できるだけ気をつけます。ハイ」
お姉に比べたら随分マシだけど。それに今は家具も少ないし。フトンと服とカバンがグチャグチャに丸められているだけだ。
「か、片付けたい。きれいにしたい……」
小さな呟き。
見るとカメさんの両手はプルプル震えている。
そのままスッと動いて、まるで呼吸をするかのような自然な動作で部屋を片付けてくれた。
黙々と。
美しいショーでも見ているような鮮やかな動き。
頼んでもないことやけど、アタシ的にはラッキーや。
見るとカメさんの両手はプルプル震えている。
そのままスッと動いて、まるで呼吸をするかのような自然な動作で部屋を片付けてくれた。
黙々と。
美しいショーでも見ているような鮮やかな動き。
頼んでもないことやけど、アタシ的にはラッキーや。
「さすがプロの仕事や! スゴイ。家事カンペキ! まさにスーパーハウスキーパーさんや」
「そ、そんな……褒めすぎです、リカさん」
「そ、そんな……褒めすぎです、リカさん」
ヨイショするとカメさん、渋く照れた。
部屋をきれいにしてくれたお礼にアタシは昨日商店街の安売りで買った饅頭を出す。
カメさんは目をキラキラさせてソレをホッペいっぱいに頬張った。
カメさんは目をキラキラさせてソレをホッペいっぱいに頬張った。
それで、聞きたいことって何? そう言うとカメさん、居住まいを正した。
「はい。こちらにお住まいの方々の人間関係をお伺いしたいと思いまして」
「そ、そうか。職場の人間関係って大事やもんな。でも、何でアタシに……?」
アタシが語り部として最適なマトモ人間だと分かったのだろう。
お姉からアパートの間取りと住人の人数は聞いたらしいが、それだけでは不十分らしい。
アタシが語り部として最適なマトモ人間だと分かったのだろう。
お姉からアパートの間取りと住人の人数は聞いたらしいが、それだけでは不十分らしい。
自分も越してきてから日が浅いと前置きして、アタシは語りだした。
高校浪人がいたたまれずトーキョーに来たものの、突然桃太郎に居座られ、しかもその桃太郎がなぜかアパートの中で徐々に市民権を得てきていること──特にそのへんを重点的に説明したのだが。
高校浪人がいたたまれずトーキョーに来たものの、突然桃太郎に居座られ、しかもその桃太郎がなぜかアパートの中で徐々に市民権を得てきていること──特にそのへんを重点的に説明したのだが。
「そうですか。桃太郎さんとワンさんの出会いは、そういうさり気ないものでしたか」
……あっさりスルーされた。
この人の関心は、専ら恋愛関係相関図にあるらしい。
この人の関心は、専ら恋愛関係相関図にあるらしい。
「大家さんの再婚がどうのとおっしゃっていましたね」
カメさん、アタシの失言もしっかり覚えていたらしい。
「あ、ああ、そのこと? 実はあの……お姉は結婚しててんけど、死に別れてん。それからずっと1人で……。そういや、旦那さんはカメさんにすごく似てる人やったわ」
うらしま、ゴメン。心の中に僅かに自責の念はある。
でもあわよくばこのままドサマギでカメさんとお姉がくっ付くことになったら……そうしたらお姉もアタシもきっと幸せになれる。
部屋もキレイやし、変態ワールドにも巻き込まれなくてすむし。
でもあわよくばこのままドサマギでカメさんとお姉がくっ付くことになったら……そうしたらお姉もアタシもきっと幸せになれる。
部屋もキレイやし、変態ワールドにも巻き込まれなくてすむし。
「そ、そうでしたか。さぞかしお辛かったでしょうね……」
カメさん、純真な性格なのだろう。
旦那が死んだというウソ話に涙ぐんでしまった。胸がチクチク痛む。
旦那が死んだというウソ話に涙ぐんでしまった。胸がチクチク痛む。
「うらしまはお姉に施しを受けてる貧乏人や。近所の小屋に住んでんねん。ホンマは迷惑してんねん」
「そうでしたか」
「そうや。しつこいねん、アイツ」
……いや、胸が痛むのは本当のことや。
「デートです」
「は? デート?」
突然何を言い出すの、カメさん? 話の流れ、何も関係ないやん。
「アタシら、今日会ったばかりやで? あ、お姉? お姉とデート?」
「思うに桃太郎さんが鈍感すぎるんです。このままではワンさんの想いは伝わらない。鈍感な男には恋の急展開が必要なのです」
あ、桃太郎とワンちゃんのことね? アタシの話、何も聞いてないな。この人。
カメさんは2人のデート計画に夢中になってしまった。
何だかキラキラしている。
何だかキラキラしている。
「全力を尽くします」
言い切った。りりしい。でも、どういう展開に持っていこうとしてるんやろ、この人。
※ ※ ※ ※ ※
「スーパー家政婦さん」──それがカメさんの称号らしい。
ちょっとだけマトモそうな人が来たと喜ぶべきか、ヘンな人また増えたと憂うべきか、アタシはちょっと悩んでしまった。
「10.不毛大作戦!恋だか変だか、何かそんな感じ1」につづく
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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