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運ばれてきたケーキに歓声をあげつつも、カメさんはマイクに連動した小型スピーカーに耳に澄ませた。
「しくじったなり!」
桃太郎の高い声がキンキン響いてきた。
続いてワンちゃんの震える高音が。
聞き取りづらいこと、この上ない。
続いてワンちゃんの震える高音が。
聞き取りづらいこと、この上ない。
「どどどどどどうしたんですか?」
いつも以上に緊張している喋り方だ。
「余はメガネを忘れてきてしもうた。これではマンガが読めぬ」
……メガネかよ。てか、マンガかよ。
アタシはげんなり溜め息をつく。
が、ワンちゃんは「キャッ!」と悲鳴をあげた。
が、ワンちゃんは「キャッ!」と悲鳴をあげた。
「ききき緊張のあまり、桃さまのお顔を見られず、お眼鏡がないことに気付きませんでしたぁ。たた大変ですぅぅ。めめめ眼鏡だけはあたしのを使って下さいってわけにはいかないですから」
「うむ。視力が違うからの」
メガネ同士、その苦労が分かり合えるらしい。
おっ、意外といい兆候?
そう思ったところでワンちゃんもメガネを外した。
ヘンに自慢げにレンズの厚みを桃太郎に見せている。
おっ、意外といい兆候?
そう思ったところでワンちゃんもメガネを外した。
ヘンに自慢げにレンズの厚みを桃太郎に見せている。
「ああああたし、目が悪いんです。0.02くらいなんです。乱視も入ってるんですぅ」
「余は乱視はないが、視力はそれくらいじゃ」
何ちゅぅ会話や。
初デートって意識が、双方にあるとは思えない。
初デートって意識が、双方にあるとは思えない。
急にワンちゃんが頬を染めた。
「ああああたしたちって、似てますね……」
──不憫や。
カフェで張り込みしてるアタシとカメさんの方がよっぽどデートっぽいで?
「くぅっ、歯がゆい……!」
カメさん、ギリギリと唇を噛んでいる。恐ろしい形相だ。
埒が明かない、2人の間に色気がなさすぎる。
そう呻いてカメさんは立ち上がった。
皿に残っていたケーキを急いで口の中に放り込んでモゴモゴ言ってる。
埒が明かない、2人の間に色気がなさすぎる。
そう呻いてカメさんは立ち上がった。
皿に残っていたケーキを急いで口の中に放り込んでモゴモゴ言ってる。
「トラブルを起こして……モゴモゴ。2人を急接近させモゴましゅモゴ! 俺に任せてください!」
「カメさん、何言ってんの? 何でアンタがそんな努力すんの? 今日は十分やろ。あえてトラブル演出すんのはやめとき──その顔で! 警察呼ばれんで」
強盗にでも扮してワンちゃんを人質に取る気かと思いきや、しかしカメさんの発想はアタシのとはちょっと違ってた。
「モゴせめてケーキを……甘やかなムードを醸しゅ為モゴ、イチゴのショートケーキをモゴ差し入れて……」
その発想、根っからの乙女やで。
カワイイんかウザイんか分からんわ。
カワイイんかウザイんか分からんわ。
2人には面が割れてますので──そう言ってカメさんはサングラスをした。
たった今、9人目を殺ってきたマフィアって感じそのものや。コワイ。
彼の内面をよく知っているアタシですら一瞬、意味なく土下座で謝りそうになった。
たった今、9人目を殺ってきたマフィアって感じそのものや。コワイ。
彼の内面をよく知っているアタシですら一瞬、意味なく土下座で謝りそうになった。
【つづく】
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