「ぜぜ全員でどこかに遊びに出かけませんか」
「うわ、ワンちゃん!」
階段の影から突然の声が。いつからいたのか。ワンちゃん、楽しそうに近寄ってきた。
「ああ、それイイかも~。ボクとかぐやちゃんも参加する。もっともぉ、サイクリングだったら御免こうむるけどね~」
やはりどこから出てきたのか、オキナも現れる。
「サイクリング……」
ふと、忌まわしい記憶が蘇りアタシは右足に視線を落とした。時々まだ痛むんや。アタシの落ち込みを敏感に察したお姉とワンちゃん、オキナを睨む。
「何、その目~?」しかしオキナに応えた様子はない。「ヤだな~。ボクはかなり優しめのオトコだよ~? ママにもいつもボクちゃんは優しい子ね~って褒められてたんだから」
「!?」
「ママ!?」
「ボクちゃん!?」
アタシとお姉、そしてワンちゃん、一斉に引いた。
変態でノーパンで×イチで無職(?)な上、マザコンが判明した! どこまで底の見えん男や。
でも、みんなでお出かけってのはいい。アタシは早速みんなにアンケートをとった。
「今一番行きたい所はどこですか?」
その問いに、アホアパートのアホ連中はこう答えた。
桃太郎──鬼が島。
一寸法師──ゴのつくモノに奪われた昔の住処に帰りたい。
お姉──わざわざ出かけるより、家でゲームをしていたいわ。
うらしま──禁断の扉を開けたその先。
カメさん──泣ける恋愛映画に絶対に行きたいです。
オキナ──だからァ、かぐやちゃんと一緒ならどこへでも?
かぐやちゃん──真冬のアルプス越えに果敢に挑戦。1万の歩兵を引き連れての強行軍になるだろう。足場を確保しつつ、迅速に進め。倒れた兵は……ワシが背負って連れて行こう。
花阪G──髪が生えてくるまで極力どこにも出かけたくない。
根田さん──不明。(大抵寝てるから聞けなかった。起きてる時は何か怖いし)
「みんなロクなこと言わん!」
憤慨するアタシ。かぐやちゃんのアレ、何やねん! 他の奴もどうかしてる。何が鬼が島や! 禁断の何やて!
そこでアタシも考えてみた。今一番行きたい所は? なんて突然聞かれたら何て答えるかな。
「う、宇宙? 少なくともヤツらの声を聞ける設備のある所。むぅ、それならやっぱりアメリカか? 何せ奴等の政府は宇宙人と密約を交わしているということやし」
……ああ、アタシも一緒や。
「ワンちゃんは?」
「みみ皆さんと海なんてどうでしょう。みみみ水着でキラキラァ。ちちちちくびとかチラチラァ」
言い方ヤらしいで、ワンちゃん。