【HJMG!不毛さん67】
23.みんなでおでかけ~サイクリング・不毛・ヤッホー!2【はじめましての方はこちらへどうぞ】
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「ところでリカ殿、どこへ参るのじゃ?」
「いや、オキナが言うように近場でいいねん。むしろこのメンバーで遠出は避けたいところや」
この人たちを引き連れて公共機関を利用するのは、できるだけ避けたいところや。
車があればまた別やけど、貧乏アパートには駐車場すらない。
見た目から判断して、すごい車に乗ってそうなカメさんはアタシの問いに首を振った。
「あ、俺はメカはちょっと」
あまり興味がないみたいだ。
まぁ……乙女の彼の守備範囲にメカは存在しないか。
それにしても、車を「メカ」ってことないやろ?
「一応免許は持っています。でも今はコンタクトをしていないので」
「へぇ、カメさん、コンタクトやったん? 知らんかった。目ぇ悪いと運転できんもんな」
「顔面でケーキを受けた際に、片方失くしてしまいまして」
「……ああ、あの時な」
「裸眼0.04です。自分の足元もほとんど見えていません。あ、大丈夫です。勘で動けます。大丈夫です」
怖いことを言う。
するとオキナが馴れ馴れしく寄って来た。
自分の眼球を指差して「ボクもボクも」と言っている。
「コンタクト屋さんから出てきたら、不思議の国に迷い込んだような気になっちゃうよねぇ」
「そうですね、コンタクト屋さんのお姉さんは異様に優しいですから。己の眼球を任せると、不思議な気持ちになります」
……何や、その会話。
むしろアンタらが不思議ワールド全開やで?
微妙な空気が漂う。
「ままま待ってくださいぃぃ!」
そこへ今度はワンちゃんが飛び出してきた。
首からデジカメを2つも提げてる。
「遅くなってすいません。めめめメモリーカードの予備を探してたら時間がぁ。アレ、小さすぎて失くしてしまうんですぅ。もうすぐテストで大変なんですけど、今日は撮って撮って撮りまくりますよぅ!」
スマホじゃなくてデジカメというところが微笑ましいなぁと一瞬思ったアタシ。
でも、ワンちゃんが持っているのは撮り鉄が装備してそうなガチのカメラで、アタシは目を逸らしてしまった。
ワンちゃん、珍しく顔を紅潮させて異様なテンションだ。
それから桃太郎の短パン姿を見て、呆然と鞄を落とす。
最後に、うらしまにパラソルを差させた姉が登場した。
これで役者がそろったわ!
まだ見ぬヒッキー2人に対しても一応ドアの隙間にお誘いのメモを挟んだのだが、現れる気配はない。
仕方ない。いずれお目にかかれる日もあるやろ。
いや、別になくてもいいんやけどな──正直なところ。
「だからリカ殿、どこへ向かうつもりなのじゃ?」
「しょしょ商店街ですか?」
桃太郎とワンちゃんが不思議そうに顔を見合わせる。
「商店街やったらいつものコースやん。わざわざみんなで出かけるんや。もうちょっといい所行こうや」
「そう申しても交通機関を使わずして、この辺りに商店街そぞろ歩き以外の娯楽はないぞよ?」
……ここってトーキョーやったよな?
【つづく】
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