【HJMG!不毛さん71】
25.パンツを盗まれた!~桃太郎が指揮る不毛捜査1【はじめましての方はこちらへどうぞ】
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「早く……早く出てぇ~!」
漏れる~ぅ、というセリフをかろうじて飲み込んだ時、2回連続して水を流す音がして、そしてようやくトイレットの扉が開いたのだった。
アパートに2つしかない共同トイレットだから、時として(いや、かなり頻繁に)こういう事態は起こるのだ。
悠々と出てきたのはかぐやちゃんだ。少し微笑んでアタシを見る──いや、アタシを通り越してすごい遠くを見詰めている。
「聞け。昨日久々にお腹いっぱい食べたからか、かつてない大きさのウンPがでた」
すごく満足そうだ。
「そ、そうなん? よかったな…」
「ウム」
頷いてかぐやちゃん、鼻歌口ずさみつつ庭に帰っていく。
……アタシ、今更ながらガッカリした。
あの人、黙ってたらホンマに格好いいのに。残念すぎる。
窓を全開にして用を足している最中だ。
「早くッ! 早くッ!」
ドアがドンドン叩かれる。
「あぁぁ、ちょっと待って」
「待てないぃぃぃ! 早く出てぇぇぇ!」
「ひぇぇ、ごめん! すぐ出るから待ってぇな!」
「待てないぃぃぃ! 早く出てぇぇぇ!」
「ひぇぇ、ごめん! すぐ出るから待ってぇな!」
かぐやちゃんの堂々としたマイペースっぷりを見習いたいわ。
あの人、どんだけ順番待ちしてても優雅にゆったりとウンPできる人やもん。
小心なアタシはそういうわけにもいかず、慌てて出た。
待っていたオキナに舌打ちと共に睨まれ、不満に思ったものの「ごめんなさい。お先でした」と頭を下げる。
扉を閉めてからオキナの悲鳴があがった。
「臭ッ! あの女、ウンPしたな!」
違う!
「違う。アタシ違うのに……」
何だか涙が出て、アタシはその場に力なく座りこんだ。
程なくして出てきたオキナがアタシに躓く。
「ギャッ!」と悲鳴をあげて数歩よろめいてから、側に座り込んだ。
「ご、ごめんってば。さっきはボクもちょっと焦ってたからさ」
「アタシちゃうねん…」
「分かったって。ね、昨日は大丈夫だった? やっぱりショックだったよね。今はどうしてるの? やっぱりノーパン? 仕方ないよね。パンツないんだもん……プッ! ど、どんな形であれ……ブフッ! ノーパン仲間が増えてボクとしては嬉しい限りだよ?」
「アタシちゃうねん…」
「分かったって。ね、昨日は大丈夫だった? やっぱりショックだったよね。今はどうしてるの? やっぱりノーパン? 仕方ないよね。パンツないんだもん……プッ! ど、どんな形であれ……ブフッ! ノーパン仲間が増えてボクとしては嬉しい限りだよ?」
「ち、違うわ。今ちゃんとはいてる。笑うな!それにアンタも水色パンツはくようになったんやろ?」
「んー……? やっぱり締め付け感? 締め付けられ感? が許せなくて、気付けばパンツを脱いでたよ」
「そ、そうなんや。気付けば脱いでたんや……」
「残念。この機会にキミも目覚めたら良かったのに。ボクと同じノーパン主義に♪」
目覚めてたまるか!
【つづく】
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