【HJMG!不毛さん72】
25.パンツを盗まれた!~桃太郎が指揮る不毛捜査2【はじめましての方はこちらへどうぞ】
昨日はホンマに散々やった。
外れた肩は夜通し痛む。
更に自転車から落ちた時に右足も傷めたらしい。
足の甲にズキズキと激痛が走り、かるく腫れてる感もある。
不安になって夜中に桃太郎を起こすも、きびだんごを一つ貰って慰められただけ。
人ん家(ち)でグーグー気楽に寝ている桃太郎の寝顔を見ると、腹立ってしょうがない。
何せパンツがないのが痛い。
アタシのパンツ、全部盗まれた。
その時に穿いてたやつ1枚しか残ってない。
精神的疲労が激しく……しかもモヤモヤした思いが渦巻いて、昨夜はロクに眠ることもできなかった。
「お願い。パンツ貸して。洗って返すから」
とりあえず夕べお風呂に入る時、お姉に頼んだ。
すると姉は露骨に顔を顰めたものだ。
「貸してあげるわ。でも、返してくれなくて結構よ」
気持ちは分かるけど、傷付く言い方やわ……。
そして桃太郎の指揮下に捜査本部が(なぜかアタシの部屋に)置かれたのが、今朝のことだ。
関係者一同、外出を禁じられる。
有無を言わさず捜査本部の一員や。
何でや。アタシは朝イチでパンツ買いに行こうと思ってたのに。
「皆の衆!」
張り切って立ち上がった桃太郎。
スーツ(上だけ)にメガネ、短パン姿は捜査指揮官としては滑稽な感じや。
「皆の衆に集まってもらったのは他でもない。知っての通り、昨日リカ殿の黄ばんだパンツが盗まれたのじゃ。一枚残らず持っていかれたのじゃ」
「き、黄ばんでへんわ! 真っ白や! アンタな、何回も言うけどアタシは16歳の乙女やで。失礼にも程があるわ!」
押し殺した低い笑い声が地味に響く。
オキナとうらしま、お姉が笑っているのだ。
ひどい人たちや。
ウケた、という思い。
それが桃太郎を更に調子付かせた。
「容疑者はアパートの中の八人+αじゃ! 余が思うに、犯人はこの中におるやもしれぬ~!」
中途半端なキメ台詞と共に、奴はアタシらを見回した。
事件って言うな! これは楽しいイベント違うねん。
「まずは聞き込みを行うが良い、リカ殿」
「行うが良いって、人にさせる気か! 桃太郎、アンタいいかげんにして。人の非常時利用して遊ぶな!」
「ほ? そちも、こういうことが好きではなかったか?」
「む…………」
桃太郎とワンちゃんのデート(?)の際に尾行を楽しんだのは確かや。
空想の中で刑事ごっこしてた。
カメさんがうんうんと頷く。
アタシが睨むとシュンとしたけど。
「良いではないか。余に任せよ。ともかく、事件の前後の状況を考えてみよう。リカ殿に恨みを抱く存在がおるやも知れぬのぅ。数多く……それはもう、数多くおるように思うぞよ」
「そ、そうやろか……」
自信が揺らいでくる。
桃太郎の言う通りかもしれん。
アタシ、みんなに恨まれてたんかなぁ。
大雑把な性格やし。
人に迷惑かけても気付かないとこ、あるんかもしれへんなぁ。
【つづく】
「HJMG!不毛さん」とは…こんなお話はコチラ
HJMG!不毛さん サイトマップはコチラ
HJMG!不毛さん第1話はコチラ
良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
HJMG!不毛さん サイトマップはコチラ
HJMG!不毛さん第1話はコチラ
良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
↓ ↓ ↓
【はじめましての方はこちらへどうぞ】