27.花阪G・妖精事件~不毛にツルっツル2
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悲鳴は断続的に続く。これは廊下の奥──2─4から聞こえる声や。
「あそこは確か問題の花阪Gの部屋!」
アイツは家賃を半年も滞納しているとお姉がぼやいていたっけ。パチンコで稼いだら倍にして払います、と言いに来たらしい。見かけによらず駄目なギャンブラーだ。外見からは、ものすごい超能力でパチンコ玉も自在に操り……ってイメージがあるねんけど。奴も昔はヘビメタバンドのボーカルをしていたらしいというワンちゃんのプチ情報もある。パチンコにハマって、身も心も持ち崩したらしい。切なすぎる…。
「じいさん、Gさん? 大丈夫か!」
ドアをドンドン叩くと、中から悲鳴と共に小柄な少年が転がり出てきた。花阪Gだ。
「ようせいが……ようせいがぁ…………」
「ようせい?」違和感に気付いたのはその時だ。「じいさん? 頭が……?」
雲間から月明りが漏れる。窓越しの月光に廊下が不意に明るくなった。ピカッと何かが光る。
「ひぃゃぁぁっ?」ワンちゃんが、ヒュッと息を吸い込みながら悲鳴をあげた。その声を聞いた花阪Gが顔をあげる。
「ま、眩しいっ!」
それは花阪Gの頭だったのだ。ピカッと光る眩い頭──ツルッパゲ頭。まさに丸坊主。
「じいさん、何があったん?」
「よ、ようせいがみえるぅ……」
「妖精やて? 何言ってんの!」
「はなにすんでるようせいが、じぃのあたまを……」
花阪Gはアタシにしがみ付きながらも自分の部屋を指差した。
「な、中に何かいるの? え? 妖精……?」
部屋の中にはさすが花咲か爺というだけあって、植木鉢が大量に並べられていた。きれいな花が咲いている鉢もいくつかある。それは普通なら癒される景色の筈なんやけど……。
「きょうあくなようせい。かみつく……くびにガッとかみつく」
──凶悪な妖精。噛み付く……首にガッと噛み付く?
こ、怖いことを言う。
「ここは任せて。さぁ、リリリカさんは行ってください」
ワンちゃんがそんなこと言うので、アタシはどうにも引っ込みがつかなくて部屋の中へと入っていった。ズルイわ、ワンちゃん。アタシが一番危険な役どころやん。これでも肩と足、負傷中やのに。
じいさんのサラッサラの髪を切ってツルっツルにした妖精(?)がどこに隠れているか知れないと、慎重に植木鉢を持ち上げ、葉の裏まで確かめる。
正直な思いを述べるとこれ以上新キャラはいらんわ、といった気持ちや。そう、特に人間じゃないヤツはな。アホの桃太郎にうらしま、法師にオキナ、かぐやちゃん。お姉にワンちゃんでさえも手を焼いてるところへ、花阪Gの登場やろ。この上妖精まで出てきたら、この話グチャグチャになるで? て言うか、アタシが疲れる。だってみんなキャラ濃いんやもん。
【つづく】
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