27.花阪G・妖精事件~不毛にツルっツル4
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一緒に妖精を探す? 何を言ってるんや、アタシは。ともかく上手いこと宥めようとしていたところへ、誰かがやって来た。廊下で「ガーッ!」と叫び声がする。怒っているらしい。ワンちゃんと花阪Gの怯えた声に、その人物は怒鳴るのをピタッと止めた。
「失礼します」
入ってきたのは意外なことにカメさんだった。ズン……と落ち込んでいるのが傍目にも分かる。何とも鬱陶しい。
「ど、どうかしたん? カメさん、怪我してる?」
カメさんは頷く。顔が真っ赤に腫れていて、髪の毛も乱れてる。ゼェゼェ息を切らしている。
「あぁぁぁぁ、このひとこわいぃ」
元気のない怪我したマフィアのオッサンを前に、花阪Gの恐怖は頂点に達した。アタシとワンちゃんの背後に隠れてしまう。
「頭をどうされましたか?」
彼のピカッと光る頭を見てカメさん、何かを感じたらしい。突然懐からナイフを取り出した。
「ひぃあああっ」
「カ、カメさん?」
「俺は……俺は出家します!」
カメさん、聞き慣れないセリフを口走った。
「しゅっけ?」止める間もない。カメさんは自分の髪をナイフでジョリジョリ切り出した。「ま、また急に何してんの! 出家ってアンタ……!」
「俺は煩悩の塊です。一瞬、欲に目が眩みました」
どうやら麻雀の点棒の配り方を巡って、かぐやちゃんと取っ組み合いの大ゲンカをしたらしい。
「でも、かぐやさんも良くない! あれは間違いなくイカサマです」
「いや、あの……カメさん?」
恨みがましくブツブツ言いながらも、ジョリジョリと手元は進んでいる。
「ひぃあぁぁ……」目の前でイカついマフィアっぽいオッサンに出家されて、花阪Gは眼球をひん剥いてカメさんを凝視していた。「で、でていけ! じぃのへやからでていけ」
「あっ、ちょっと! じいさん?」
脇腹を押され、アタシらはまとめて部屋から追い出された。目の前でドアが閉まり、中からすすり泣くような声が響く。
「もぅいや。じぃはなにもみたくない。このよのなか、じぃにはつらすぎる」
「じいさん、アカン! 辛いけど、逃げたらアカン。これが現実なんや!」
ドンドンと扉を叩くと、中から陰気な声。
「じぃのことはほっといて。あと、じいさんってよぶな!」
こうして、花阪Gはますます引きこもるようになったのだった。
「28.リカ、ダウン!~その病の名こそ、不毛ワールド?」につづく
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