30.はじめての経験・雨乞い~不毛なことには変わりなし3
アタシの呟きが聞こえなかったらしいオキナ、さっきからチラチラと目配せしてくる。
「ね、話してみるとかぐやちゃんって結構ちゃんとした人でしょ。頼りになるし」
「う……」
アカンて。アンタ、完全に毒されてるやろ。マシンガントークが収まるのを待って、ようやくアタシはかぐやちゃんの前に進み出た。かぐやちゃん、不思議そうにアタシを見る。
最大の疑問。
「前から聞きたかってん。かぐやちゃんって、家ないの?」
「いえ?」
「そう。家」
「いえ……」
「そう。家」
「いえ……」
アタシを見るかぐやちゃんの目に憐れむような感情が過ぎった。
「何故、地図上に勝手に線を引いて人間が所有権を主張する? 境界を侵したからと言って、武器を持ち出す? 家も土地も森も海も空も……全ては地球のものなのに」
「お…おぉーっ!」
オキナと桃太郎が感動して拍手した。アタシもつられそうになって、必死で自制する。
「た、正しいっちゃあ正しい。いや、でもヘンやろ。何その言い草。いや、まぁ……それはよく分かったわ。それで? かぐやちゃん、今何してんの?」
KILLTシャツの美青年はテロに対する抗議を繰り広げながらも「ハッ!」とか「フッ!」とか言いながら空中で手を叩き、両手の平を擦り合わせたりしていたのだ。ちょっとした激しいエクササイズのようにも見える。
「……ていうか、ホンマに何してんの? ダイエット?」
「ダイエットが必要なのは貴様だろう」
「うぐっ…」
「うぐっ…」
か、かぐやちゃん、時としてえらく辛辣や。アタシは唇を噛んだ。最近、怠けクセがつくと共にたるんできた下っ腹のあたりを両手で押さえる。
「ワシは何もない空間から火を起こしているのだ」
「ハイ?」
エクササイズはますます激しくなった。
中空には無数の塵や埃が舞っている。それらを高速で摩擦させれば火花が散って炎が生まれる──なんてことをかぐやちゃんは言うのだ。えっと……つまり粉塵爆発の要領か?
「スゴーイ! かぐやちゃん、賢ーい」オキナが感激してエクササイズに加わった。
「余も手助けしてしんぜよう」
みんな楽しそうに飛び上がっては手をパンパン叩き出した。
【つづく】
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