ガラにもなくドキッとした。恋って言われても。最初はケンカばかりだったけど、なぜか気になるあの人。次第に仲良くなって……ってパターン、昔の少女マンガの王道やん。
「いや、でも……」
失礼な奴やけど、まぁミバはちょっと良かったかも……いや、そう考えると格好良く思えてきたわ。いやいや、まんざらでもないかも。赤毛もオシャレやで。
でも奴は二重人格でマフィアの息子か何かで、CIAに追われてるねん。何とか逃げおおすものの、サイエンス系の民間企業に捕まって生物兵器に改造されて、遂には愛し合うアタシと闘う羽目に。
それがアタシたちの運命。過酷な愛……ア、アカン。アタシの想像力、こんなもんや。
「…………ラブコメの要素ないわ」
「まぁうちはホノボノ・ジェパニーズ・メルヘン・ギャグだから」
「な、何ソレ! 何なん、そのジャンル? アタシら、そういう分け方されんの? すっごい不本意や!」
「オホホ」
「オホホちゃうって!」
急にアタシは冷めた、と言うか落ち着いた。考えてみ。あの赤毛も相当オカシナ系やで? むしろ関わりたくないわ。
「それよりお姉、この話カメさんにしたらアカンで。あの人、色恋沙汰絡むと異様な行動に走るから」
赤毛若者を探してプラカード持って街中練り歩きかねない。恥ずかしい思いをするのは間違いなくこっちなのだ。
「……それにしても、この前カメさんにきれいに掃除してもらったとこやのに」
腹立ちや疑惑、色んなものを吐き出してスッとしたアタシは、ようやく室内の惨状に気付いたのだった。辺り一面服や食器が散乱し、見慣れたゴミ屋敷に逆戻りしている。
「あれから三日も経ってへんのに。カメさん、報われへんな……」
「オ、オホホ」
誤魔化すように笑って、お姉はまたもやゲーム機を取り出した。
「やり込み要素、莫大ナリ! 今日は採掘名人を目指すのよ」
意味の分からんセリフを吐いて、パワーをオンにした。こうなったお姉は異様な集中力を発揮する。アタシの声もうらしまの変な声も決して耳には入らない。
うらしまの変な声……。
「あっふ~んッ……あふんッ!」
さっきから地味に延々響いてる。廊下に出てすぐにあるトイレ(通称・トイレット)からだ。キバってるのか? キバるんなら、もう少しおとなしくキバってくれ。
苦い思いでアタシは部屋を出た。なるべくあの人には関わりたくないからな。こっそりトイレットの前を通り過ぎようとしたそのタイミング──ドアがバンッと勢いよく開いた。
「イテッ!」
鼻を強打して、アタシはその場にうずくまる。
「は、鼻血が……」
そのアタシの前にうらしまが覆い被さるように迫ってきた。
「リカちゃん、リカちゃん……ッ!」
ハァハァ言ってる。
「ギャー! 退いてや!」
うらしまは顔を真っ赤にして、恍惚の表情で叫んだのだった。
「血便が出たんだ! リカちゃん、見てくれ!」
……この男、反吐(ヘド)吐くまでシバき倒したいわ。
「13.不毛というより、恐怖~ゴキブリ天国」につづく
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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でも奴は二重人格でマフィアの息子か何かで、CIAに追われてるねん。何とか逃げおおすものの、サイエンス系の民間企業に捕まって生物兵器に改造されて、遂には愛し合うアタシと闘う羽目に。
それがアタシたちの運命。過酷な愛……ア、アカン。アタシの想像力、こんなもんや。
「オホホ」
「オホホちゃうって!」
急にアタシは冷めた、と言うか落ち着いた。考えてみ。あの赤毛も相当オカシナ系やで? むしろ関わりたくないわ。
「それよりお姉、この話カメさんにしたらアカンで。あの人、色恋沙汰絡むと異様な行動に走るから」
急にアタシは冷めた、と言うか落ち着いた。考えてみ。あの赤毛も相当オカシナ系やで? むしろ関わりたくないわ。
「それよりお姉、この話カメさんにしたらアカンで。あの人、色恋沙汰絡むと異様な行動に走るから」
赤毛若者を探してプラカード持って街中練り歩きかねない。恥ずかしい思いをするのは間違いなくこっちなのだ。
「……それにしても、この前カメさんにきれいに掃除してもらったとこやのに」
腹立ちや疑惑、色んなものを吐き出してスッとしたアタシは、ようやく室内の惨状に気付いたのだった。辺り一面服や食器が散乱し、見慣れたゴミ屋敷に逆戻りしている。
「あれから三日も経ってへんのに。カメさん、報われへんな……」
「オ、オホホ」
誤魔化すように笑って、お姉はまたもやゲーム機を取り出した。
「やり込み要素、莫大ナリ! 今日は採掘名人を目指すのよ」
誤魔化すように笑って、お姉はまたもやゲーム機を取り出した。
「やり込み要素、莫大ナリ! 今日は採掘名人を目指すのよ」
意味の分からんセリフを吐いて、パワーをオンにした。こうなったお姉は異様な集中力を発揮する。アタシの声もうらしまの変な声も決して耳には入らない。
うらしまの変な声……。
「あっふ~んッ……あふんッ!」
さっきから地味に延々響いてる。廊下に出てすぐにあるトイレ(通称・トイレット)からだ。キバってるのか? キバるんなら、もう少しおとなしくキバってくれ。
苦い思いでアタシは部屋を出た。なるべくあの人には関わりたくないからな。こっそりトイレットの前を通り過ぎようとしたそのタイミング──ドアがバンッと勢いよく開いた。
「イテッ!」
鼻を強打して、アタシはその場にうずくまる。
「は、鼻血が……」
鼻を強打して、アタシはその場にうずくまる。
「は、鼻血が……」
そのアタシの前にうらしまが覆い被さるように迫ってきた。
「リカちゃん、リカちゃん……ッ!」
ハァハァ言ってる。
「ギャー! 退いてや!」
うらしまは顔を真っ赤にして、恍惚の表情で叫んだのだった。
「血便が出たんだ! リカちゃん、見てくれ!」
……この男、反吐(ヘド)吐くまでシバき倒したいわ。
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