13.不毛というより、恐怖~ゴキブリ天国1
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「建物中、くまなく掃除をしましょう」
カメさんが静かに提案した。
目が真っ赤になってる。丸一日寝ていないようだ。
目が真っ赤になってる。丸一日寝ていないようだ。
部屋を片付けても片付けても、すぐにまたお姉が散らかすのだ。
更にうらしまもいつもの調子で邪魔をしてくる。
お姉にたかるホームレスだと信じているカメさんはその撃退にも必死だ。
そして遂に夕べは泊り込んだらしい。夜も寝ずに片付けまくったとか。
更にうらしまもいつもの調子で邪魔をしてくる。
お姉にたかるホームレスだと信じているカメさんはその撃退にも必死だ。
そして遂に夕べは泊り込んだらしい。夜も寝ずに片付けまくったとか。
「カメさん、かわいそうやん!」
翌朝、その悲惨すぎる実態を知ったアタシは、恐ろしいお姉に向かって叫んでいた。
「どうせお姉は手伝いもせずにゲームしてたんやろ? あんまりやん! カメさんもやめとき。て言うか、あきらめ。この人はアカンもん。ダメな人やもん。掃除するだけムダやで!」
アタシは一気にまくし立てた。
「いいえ、無駄なことなどこの世に何一つとしてありません。大家さんに悪気はない。習慣と性格だから……仕方ありません」
「アカンて。カメさん、いい人すぎるわ!」
ピンクの割烹着の肩をつかんで揺さぶった。目を覚ませ、カメさん! そう願いを込めて。
そこへお姉、ズイッと顔を出す。目を細めて、怒りの表情だ。
「あなた、随分大きな口を叩くのね。偉いのねぇ?」
「いや、あの……」
ヤバ。コワイ。
「ごめんなさ……」
ヤバ。コワイ。
「ごめんなさ……」
謝ろうとしたが、うちのお姉、復讐はしっかり果たすタイプや。
「わたしに意見をできるのは、きっちり家賃を払ってる人だけよ」
強い調子で宣言する。うらしまじゃないけど、そう来られてはアタシとしても土下座するしかない。
「アナタ、ここに何日タダで住んでると思ってるの? イヤな子ね」
強い調子で宣言する。うらしまじゃないけど、そう来られてはアタシとしても土下座するしかない。
「アナタ、ここに何日タダで住んでると思ってるの? イヤな子ね」
「ス、スイマセ……」
姉妹でも容赦ないな、この女。
仕方ない。アタシは腹を括って床におでこを擦りつけた。
仕方ない。アタシは腹を括って床におでこを擦りつけた。
「お姉、こんな時に何やけど……家賃以前の話やねんけど……おこづかいくれへん? カメさんにはお給料払ってるんやろ。ならアタシにもちょうだい! こんなにこき使われてんのに! けっこうアタシ、お姉の為に動いてんで?」
いたたまれず家を飛び出した高校浪人のアタシに仕送りはない。
今まではお年玉とか貯めてた貯金で食べ物買ったりしてたけど……遂に本日、残高ゼロ円になりました。
一文無しでぇーす。ハァーイ! やっちゃったー!
今まではお年玉とか貯めてた貯金で食べ物買ったりしてたけど……遂に本日、残高ゼロ円になりました。
一文無しでぇーす。ハァーイ! やっちゃったー!
おどけるとお姉は手を叩いて嬌声をあげた。
しかし……目は笑ってない。
すごい冷たい視線が、矢のように十六歳のいたいけな少女の身を貫く。こわい……。
しかし……目は笑ってない。
すごい冷たい視線が、矢のように十六歳のいたいけな少女の身を貫く。こわい……。
「お姉、ごめんなさい。ホンマにごめんなさい……」
結局、アタシは謝った。
「もっとよ!」
「スイマセン。ゴメンナサイ。アタシが愚かでした」
オホホとお姉は笑う。
「そうね、お小遣いをあげてもいいわよ」
圧倒的優位に立ったお姉は、ようやくアタシに救いの手を差し伸べてくれた。
「ホ、ホンマに?」
「ええ」
にっこり微笑むその笑顔が恐ろしい。
「条件があるわ。カメさんを手伝いなさい。この際だから、アパート中の掃除をするの」
にっこり微笑むその笑顔が恐ろしい。
「条件があるわ。カメさんを手伝いなさい。この際だから、アパート中の掃除をするの」
「ハハーッ!」
アタシは本気で土下座した。
【つづく】
【つづく】
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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