「うわ、何やここ。ゲホッ!」
立ち込める埃にアタシたちは噎せ返る。
3畳ほどの狭さのそこには、ダンボール箱が山ほど詰まれていた。
3畳ほどの狭さのそこには、ダンボール箱が山ほど詰まれていた。
「何かしらね、これ」
お姉のノンキすぎるセリフ。
「自分の物置やろ!」
そう言うと首を振る。どうやら記憶にないらしい。
「前のオーナーの物がそのまま残っているのかしらね」
「前のオーナー?」
「ここを買い取ったのは一年前だもの。株でちょっと儲けたから、土地を転がそうと思って買ったのよ」
「お姉、株なんてしてたん? 土地転がすなんて、豪快やん!」
「オホホ」
じゃあコレら全て、前の人の物なんや。
それやったら遠慮なく捨ててしもたらいいやん。
そう思ってアタシは一番手近のダンボール箱に手をかけた。
意外と軽い。動かそうとした時だ。
腕にカサカサ──むずがゆい感覚が走った。
それやったら遠慮なく捨ててしもたらいいやん。
そう思ってアタシは一番手近のダンボール箱に手をかけた。
意外と軽い。動かそうとした時だ。
腕にカサカサ──むずがゆい感覚が走った。
「なに?」
何気なくそこを見た。
その時のアタシは、何の危機感も抱いてはいなかったのだ。
その時のアタシは、何の危機感も抱いてはいなかったのだ。
自分の腕を見下ろそうと顔をうつむける、その視野に映った桃太郎とワンちゃん──一気に凍りつく。
それは突然、極限状態に置かれた人間の表情そのものだ。
二人の視線はアタシの腕を這い回る。
それは突然、極限状態に置かれた人間の表情そのものだ。
二人の視線はアタシの腕を這い回る。
「ど、どしたん? 二人とも」
内臓ムズムズするような嫌な予感。
カサカサカサ──。
カサカサカサ──。
「!」
テカッと光る茶色いモノ。
長い触角がフワリと揺れ、羽が小刻みに動いている。
長い触角がフワリと揺れ、羽が小刻みに動いている。
「ヒィアァァーーーーッ! ゴッ……、ゴのつくモノがぁァ!」
【つづく】
ゴ○ブリ! ゴキ○リ! ゴキブ○ィ!
恐ろしくて名前言えん。
肩口へ這い上がってくるソレ──ゴのつくモノ、それも特大サイズが二匹。
ワンちゃんが無言で部屋を飛び出し逃げて行く。
彼女に続こうとして、桃太郎はその場にバタンと派手に転んだ。
肩口へ這い上がってくるソレ──ゴのつくモノ、それも特大サイズが二匹。
ワンちゃんが無言で部屋を飛び出し逃げて行く。
彼女に続こうとして、桃太郎はその場にバタンと派手に転んだ。
「ヒィァーーーッ! ヒッ! ヒィ~!」
アタシは両腕を振り回す。
お姉がすごい声でケタケタ笑い出した。
お姉がすごい声でケタケタ笑い出した。
しかし、悲劇は終わらない。
放り投げ、ひっくり返った箱の中からゾロゾロとあふれ出る何十匹ものゴのつくモノ。
行進というより固まりが波のようにサァーっと動き、そして家中へ散っていった。
放り投げ、ひっくり返った箱の中からゾロゾロとあふれ出る何十匹ものゴのつくモノ。
行進というより固まりが波のようにサァーっと動き、そして家中へ散っていった。
アタシと桃太郎は茫然自失。泡吹いてたように思う。
遠のく意識の中でお姉が楽しそうに「アラアラ」と言っては笑う。
遠のく意識の中でお姉が楽しそうに「アラアラ」と言っては笑う。
「素早いわね、コイツめ! オホホ」
そしてアタシの姉は、ゴのつくモノを手でつまんで頭と胴をまっぷたつに千切ったのだ。平然とした顔で!
「こうやって、むしっておけば復活はないわ」
あんなこと言ってる。
「たかが小さな虫じゃない。あなたたち、自分の大きさを考えなさいな」
あんなこと言ってる。
「たかが小さな虫じゃない。あなたたち、自分の大きさを考えなさいな」
「ごもっともですぅ! 大家殿のおっしゃる通りですぅ!」
桃太郎がヘンなテンションになってその場に土下座した。
【つづく】
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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