14.不毛すぎたカラクリ~間に合わなかったバルサン2
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満足いくまでゲームをやりこんで、それから姉はようやく我に返ったらしい。
気が付けばアパート中、大騒動。
気が付けばアパート中、大騒動。
「小さくて茶黒の何かが大量発生していたような……」
こめかみ押さえながらまるで他人顔でそんなことを言う。
ケタケタ笑いながらゴキを手づかみしては頭と胴を引きちぎっていた記憶は、都合の良いことに彼女の中には無いらしい。
ケタケタ笑いながらゴキを手づかみしては頭と胴を引きちぎっていた記憶は、都合の良いことに彼女の中には無いらしい。
とにかく建物中メチャメチャのボロボロということで、お姉は遂に決意した。
「家賃取り立てたい! 家賃取り立て隊!」
どうやら、このアパートでマトモに家賃を払っている住人は少ないらしい。
お姉が言うには、そのせいで掃除もできなきゃ修理もできないということだ。
尤も、それは言い訳くさいけどな。
お姉が言うには、そのせいで掃除もできなきゃ修理もできないということだ。
尤も、それは言い訳くさいけどな。
ロックフェスみたいなノリでお姉は「家賃取り立てたい~! 家賃取り立て隊ッ!」と歌っている。
「行くわよ、リカ! 桃太郎ッ!」
「え? ちょっと、桃太郎まで巻き込まんといて。コイツ、ちょっと動いただけで大きな顔するからウザイねん。この前だって……」
アタシの言葉が終わらないうちに「ハハーッ」と背後で声がする。
振り向けば桃太郎、頭ザンバラのままその場に這いつくばっていた。
振り向けば桃太郎、頭ザンバラのままその場に這いつくばっていた。
「大家殿の命令には、絶対服従でござりまする~」
主従関係、もうできあがってるぅ?
アタシ達は、女将軍に付き従う最下層の召使のように部屋を出た。
まぁ、家賃取り立てるって行動に関しては賛成や。
ちっとも金払わんアタシに対して、最近風当たり強いからな。
手元に現金入れば、お姉もちょっとは落ち着くかもしれん。
ちっとも金払わんアタシに対して、最近風当たり強いからな。
手元に現金入れば、お姉もちょっとは落ち着くかもしれん。
「それより桃太郎、アンタいつのまにお姉に手なずけられたん?」
世話してんのはアタシやろ。
そう思うとちょっと腹が立つ。
マゲを失ったことに気付いているのかいないのか、桃太郎は神妙な面持ちだ。
そう思うとちょっと腹が立つ。
マゲを失ったことに気付いているのかいないのか、桃太郎は神妙な面持ちだ。
「先日の大掃除で余は大家殿が大切にされている皿を割ってしもうた」
「ハァ?」
「隠蔽しようとした余に、大家殿はこう言ってくれたのじゃ。気にしないで、形あるものはいつか壊れるのですと──」
「ハァ……隠蔽しようとしたんやね、アンタ」
何か知らんが、アホの桃太郎はいたく感激したらしい。
お姉的には皿なんて別に大事じゃなかったってだけのことと思うけどな。
お姉的には皿なんて別に大事じゃなかったってだけのことと思うけどな。
「心の大きな女子(おなご)じゃ~」
己の胸に手を当てて、桃太郎はお姉を仰ぎ見た。それからアタシをチラ見する。「ガメついだけのそちとは違うのぅ」
己の胸に手を当てて、桃太郎はお姉を仰ぎ見た。それからアタシをチラ見する。「ガメついだけのそちとは違うのぅ」
「な、何やと! アンタは誰の世話になってんねん。許せへん!」
そもそもアタシなんかよりお姉の方が余程ガメツイ人間やで。
立派なこと言ってもあの人の金に対する執着は普通違(ちゃ)うで!
立派なこと言ってもあの人の金に対する執着は普通違(ちゃ)うで!
反論したってしょうがない。無性に腹立たしいものの、アタシは言葉を飲み込んだ。
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良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
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