14.不毛すぎたカラクリ~間に合わなかったバルサン3
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「お金に振り回されてはいけないけど、人間が生きていく為にはお金はとても重要なものよ」
なんてお姉は勝手なことを言っている。
桃太郎は桃太郎でいちいち「ハハァーーーッ」と土下座して聞いてるし。
傍で見ててウザイことこの上ナシやわ。
桃太郎は桃太郎でいちいち「ハハァーーーッ」と土下座して聞いてるし。
傍で見ててウザイことこの上ナシやわ。
そうこうする間にアタシら3人は1ー4号室前にやって来た。
「あなた、存在がややこしいから帰っていいわ」
お姉にあしらわれ、桃太郎はショックを受けている。
フン。ざまあみろ、や。
フン。ざまあみろ、や。
「で、1─4号室? ここの住人ってどんな人?」
「ヤな奴よ。変態だし」
お姉、吐き捨てる。
突き放すような言い方だ。この人が他人をこんな風に言うのは珍しい。
突き放すような言い方だ。この人が他人をこんな風に言うのは珍しい。
変態だらけやん、このアパート……。
そう思いながら1─4のドアをノックすると、横からお姉が扉を豪快に蹴り開けた。中から悲鳴が響く。
「キャア! いきなり何だよッ。プライバシーの侵害だよ。訴えてやるからっ! それに、こないだのアレは何なの。ゴキ大量発生! 雨漏りするし、地震でもないのに家は揺れるし。こんな家もぅイヤだ! 引っ越してやるぅ」
中の人物の性別すら判断できない金切り声だ。
「じゃあ、出ておいき!」
お姉が勇ましく返す。
違(ちゃ)うやろ、追い出してどうすんねん。家賃払ってもらうんやろ。
違(ちゃ)うやろ、追い出してどうすんねん。家賃払ってもらうんやろ。
「お姉は黙ってて。あの、お忙しいところスイマセン。先月のお家賃をですね……アッ!」
8畳の狭さの部屋にいたのは、赤い髪の若い男だった。
見覚えのあるその姿。
道でこかされた、コインランドリーで会った、そしてスーパーでケンカした例の失礼な若者だ。
見覚えのあるその姿。
道でこかされた、コインランドリーで会った、そしてスーパーでケンカした例の失礼な若者だ。
「アッ」
向こうもアタシに気付いて指差す。
「メガネ桃太郎のお供?」
向こうもアタシに気付いて指差す。
「メガネ桃太郎のお供?」
「お供違(ちゃ)うわ!」
「ああ、メガネ桃太郎の相方だっけ」
「相方でもないわ!」
じゃあ、何だよ?
訝しげに尋ねる赤毛を、アタシは睨み付ける。
訝しげに尋ねる赤毛を、アタシは睨み付ける。
「じ、事務方や」
……適当に答えてしまった。
「フーン」
何だか納得した様子だ。
何だか納得した様子だ。
「あ、あの、違うねん。ホンマは……」
言いかけた台詞を、空気を読まないお姉が堂々と遮る。
「この男が悪いのよ。この間のゴキブリ騒動の原因よ」
「なんで……?」
「バルサン買って来いって言ったのに、コイツがトロいせいで」
赤毛は気楽な様子でポンと手を叩いた。
「あ、そうそう。大家さん。買ってきたよ、バルサン。これでいいの?」
部屋の隅に置いていたスーパーの袋を持ってくる。
「もう遅いわ!」
【つづく】
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