不毛な主義、崩壊~ヘンなアンケート1

【HJMG!不毛さん52】
18.不毛な主義、崩壊~ヘンなアンケート1
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「駄目、絶対生かして帰さない。森に誘い込んで追い詰める。罠を仕掛ける。地の利に長けた奴等の、逆に裏をかく」

 ……怖いんですけど。

 出会った瞬間、分かっていた。
 この人は基本的に他人の話を聞かない人だ。
 かぐやちゃん、そっぽ向いて何かブツブツ言っている。
 すぐ側までやってきたアタシに目もくれず、だ。
 いや、めげちゃアカン。アタシは手帳を広げた。

「では。かぐやちゃん……あ、馴れ馴れしいですね。スイマセン。かぐや、さん? エット……」

「────」

 ゴゴゴ……地鳴りのような轟音が響く。

「もうええわ、じゃあかぐやちゃんで。エット、質問です。かぐやちゃんの好きな花は?」

「────」

「じゃ、じゃあ好きな味噌汁の具は?」

「大根」

「はぁぁ! 大根! そ、そうですね。定番ですよね」

 って、何でアタシがこの人相手にここまで気遣わんといかんねん。

 ゴゴゴゴ……地鳴りのような轟音が響く。

「好きな色は?」

「────」

「じゃあ、じゃあ好きなドレッシングは?」

「青じそ」

「あ、サッパリしてますもんね」

 ゴゴゴゴゴ……地鳴りのような轟音が響く。

 分かってきた。
 この人、食べ物の話にしか反応しない。

「あの、じゃあ好きなゲームは? 何や、この質問。……サバゲーですか? まぁ、サバゲーですよね?」

「────」

「つ、次の質問です。好きなフルーツは?」

「りんご」

 ホラ、即答や。
 でもそれ以外の質問は全然聞いてない。
 すごい遠い目してる。

 ゴゴゴゴゴゴ……地鳴りのような轟音が響く。

「え? ちょっと待って。この音、かぐやちゃんの腹の音?」

 もしかして、お腹空いてます? というセリフが、何だか怖くて口にできなかった。

「さ、最後の質問です。一番の好物は何ですか?」

「豆と種」

 案の定、即答や。

「豆と種ですか……。えぇと、アレですね。案外、地味なものがお好きなんですね。ナ、ナッツとか?」

 ちょっとオシャレな感じで言ってみたら、ポカンとしてる。

「ま、豆は腹持ちいいですもんね。ゲリラ戦にはそういう要素も必要になってきますもんね」

 何でアタシがそんな意味分からんフォローせんといかんねん。

 何故アタシがこんなアンケート作業をしているかというと、だ。
 姉にかぐや様リサーチを頼まれたからだ。
 好きな食べ物、好きな女性のタイプ、気になる女性の仕草……何でもいいから聞いて来いと。

 嫌や。あの人ヘンやもん。話したくない。お姉が自分で行って。
 そう叫んだアタシの前にヒラリと一万円札が舞う。

「おこづかい、あげるわ」

 その一言で落ちた自分もどうかと思うけど。
 実際お姉には世話になってるし。
 感電した時は迎えに来てくれたし、何やかや言いながらもご飯食べさせてくれるし、お金も貸してくれたし、一応多分心配もしてくれてる。
 何と言ってもこの姉の命令に逆らうことはできない。怖い。

 露骨に言っちゃ駄目、さりげなくよ!
 念押しと共に送り出されたわけだ。正直やってられへん!

           【つづく】

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